
一般向けに書かれた、本屋さんで手に入る浄土宗や法然上人に関する本は限られている。
正しく書かれている本があまりに少ない。
思えば、自分も坊さんになる前(25年前ぐらい)に手にした本で、世に著名な仏教学者や評論家が書いたものは、まともなものがない印象だった。
名前を出すのは遠慮するが、単独であれ複数の祖師を扱った中であれ、法然上人のことを正しく捉えていない。(日本史や倫理の教科書での扱いなど論外である)
宗内関係者の専門書で一般読者に読解を求めるのは厳しいし、かといって岡惚れ説教師の勝手気ままな祖師像につき合わされるのは虫酸が走る。それらはそもそも一般販路に認知されていない。
大学院に在籍していたころ、佛教大学の総合研究所にいらした上品な事務員の方と見覚えがあったのが著者の山本博子さん。研究者でいらしたのだ!(失礼)
思えば、あのころ黙々とこの本を書いていらしたことになる。
最新の研究を反映し、実証的な祖師伝を骨格に据えて、教義にも触れ、典拠を示しつつ、シリーズの体裁である図説を駆使して分かりやすく解説が施されていく。
自坊では、平成23年の祖師800年大遠忌の際、法要参列者に配布した。
昨秋、浄土宗の教師養成道場で「伝道」の講義を受け持った際に、道場生たちに正しく祖師のことを学んで欲しいとの一心で紹介した。
勧めるからにはと事前にネットで検索すると、久しく品切れ状態が続いている。
出版社に直接問い合わせたら、絶版状態でこのままいけば廃版も、との言。
それでは困ると掛け合い、同志の僧侶方を募り、多くのご協力を得てオンデマンド出版にこぎつけた。
そこまでしておいて講義で勧めたものの、問い合わせてきた受講生はごく一部の人だけで愕然とした...
このページを見られた方でも、心ある方は問い合わせを賜りたい。
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