法然上人のご生涯を記した伝記のうち、もっともスタンダードなものが『法然上人行状絵図』(48巻)です。
上人没後100年頃(14世紀初期・鎌倉時代)に編纂されました。原本は、浄土宗の総本山知恩院にあります(国宝)。
原典は四十八巻もある大部です。それを抜粋して月参りで拝読を進めてきましたが、その作業も四十八章をもって終了し、目下製本作業中です。
これを当ブログ上でも順次紹介して参ります。文字データでアップすると、ルビがふれず、カッコ書きで煩瑣な作業になり、かつ読みにくいという問題が発生するため、実際に配布していたプリントを写真で掲載することにしました。
関心をもって頂ける方はご活用ください。何かお気づきのことがございましたら、問い合わせフォームからご質問・ご意見などをお寄せください。
なお、底本は、浄土宗が製作した『浄土宗聖典』に収録されたものを採用しています。
【解説】
法然上人は、美作国の地方豪族のお生まれでした。
ご両親はたいへん信心深く、その祈りによって神仏から授けられた命であるという、えも言われぬ尊さがあります。命は造れるものではないのです。
ご出生の際、仏教を象徴する「幡」が庭の木に舞い降り、神々しい光景の中に、将来すべての人を救いの道へと教え導いてくださる師がここに降誕くださったことに、天も地も感動に震え、仏の慈悲がこの娑婆世界に届き、現れる喜びを表現しているのです。
そのことをまだ知る由もない人々は、「奇異の思いをな」しています。
現代の私たちであっても、その気高さに打たれる感性は残っているでしょうか。
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