こんにち、お寺でもイス席が普通になった。
生活様式が変化したのであって、抗えない。
老いも若きもイスの生活なのだから、
参詣を受け容れる側としてもイスを用意せずにはいられない。
いかにも「仕方なし」という書き方だが、
私も日ごろ、自分だけのお勤めでイスに座ってしまっている。
やっぱり足が楽なのだ。
本当は正座した方が気持ちも落ち着き、腹も据わって声が出やすい。
イスに腰かけてしまうと宙ぶらりんな気持ちと声になる。
経机や鳴り物も高さを変える必要があるし、
あらゆるお作法が正座で行うように躾けられてきたことばかりだ。
一番問題なのは、仏さまに向ける視線が床とほぼ平行線になることなのだ。
仏像は、こちらが低い位置から拝む時に、もっとも慈悲深いお顔をしてくださっている。
この数日は足が寒いこともあって、畳に座している。
イスでお参りしていては、ご尊顔をありがたく拝めていないんだなと深刻に思った。
それに伴って高慢な私になっているはずだと思う。
己を低くして拝む姿勢がなければ、尊いものを頂戴できなくなるからだ。
やっぱり、できるだけ地べたに座ってお勤めをしようと思う。
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